京都全力ひとり旅④東寺【フォトエッセイ・三度の飯より寺社仏閣】


 16時前、東寺の門をくぐる。


 久しぶりに来た。前回は会社の研修で京都に来た際に、帰りの新幹線までの自由時間で観光できるオススメのところはどこかと同僚に聞かれた私は、迷わずここを選んだ。

 その時以来である。

 17時に閉門するため、ひとまず拝観料のいらない食堂じきどうで御朱印をもらうのだが、案内係のおばちゃんに事前にいくつか種類のある御朱印のどれを書いてもらうか伝えるシステムに変わっていた。以前は食堂、金堂、講堂のそれぞれで書いてもらった記憶があるのだが、どうやら変わったようである。

 御朱印を書いてもらっている間にきょろきょろ見回すと、焼け焦げた四天王像が目に入る。昔火事に見舞われた際に焼けてしまったといわれる黒焦げの四天王像。炭化してしまっても大きく、迫力のあるお姿は力強く、とても目を引く。

 そういえば前回来たときにここで手拭いを一枚購入した。今も気に入って使っているそれは白地に般若心経が書いてあるのだが、般若心経がすべてイラストで表現されている。はんにゃなら般若の面、はらはでっぷりと突き出た腹、といった具合だ。

 まだ売っているのか見るのを忘れてしまったが、手拭いユーザーの方、おすすめです。お値段も間違ってないか? というくらい安かった気がする…。

 では改めて拝観料を払って金堂と講堂へ。

 と思ったら入り口を入ったところに小さくて薄いピンク色のツツジが見事に咲いていた。一瞬で目を奪われてカメラを向ける。

 すると出口へ向かう女性に声を掛けられた。

「なんの種類だろう、ツツジかな?」

 そんな他愛ない会話だったが、そんな会話もなんだか楽しい。

 手前の講堂に入る。

 ここには仏像が大量に安置されていて、立体曼荼羅と呼ばれている。曼荼羅図の配置で仏像が設置されているのだ!

  私はどうしても像として仏像を見る傾向にあるのだが、前回一緒に訪れた同僚が「私さぁ、仏像の下で潰されてる餓鬼が好きなんだよね」と言っていたのに衝撃を受け、それからは上から下まで、なんなら背後までじっくり見るようになった。

 確かに潰されている餓鬼には味がある。足で踏まれて顔めり込んでるしね! むぎゅっと潰される音さえ聞こえてくるようである。

 人の価値観は人それぞれなわけであるが、それは時に自分に足りないものを補ってくれる。

 立体曼荼羅を堪能した後は、隣の金堂へ。

 こちらにはご本尊の薬師如来さまと日光菩薩さま、月光菩薩さまが安置されている。

 まばゆい金色の三体は、見上げる者を穏やかに見つめてくる。また涙が出る。私やっぱり弱ってたんだなぁ、と痛感するのと同時に、また来れて良かったという感謝も沸いてくるのだ。

 コロナなんて流行ったお陰で、どこも他県民は来るなってなってたんだもんね……。次なんて無いのかも……とほんとに思い知らされた3年間を経て、ようやくわたくし復活の時を向かえたのですよ!

 なんて長く患っている中二病という不治の病が顔を出したり出さなかったり。

 時計を見ると、16時半を回っている。五重塔をさっと見てから宝物館宝物館……いそいそ。


 また閉まってるっ! 閉館時間……16時半……。そうか……ラストオーダー的なアレか……。ちゃんと時間は確認しましょう……。しょんぼり。

 そしたらもうホテル向かうか……とガックリしていたら、奥の方に何かある。七福神と書いてある。

 今まで何回も東寺に来ていて、一回も行ったことのない場所。毘沙門堂。

 そろっと門から中をうかがうと、境内にはまだ人がいる。ここは17時まで平気そうだと足を踏み入れる。

 金堂や講堂の半分くらいのお堂がそこにはあった。ぐるっと一回りしてみると、裏手に毘沙門天様の厨子が。説明書きによれば、今まで一度も御開帳されたことのないという国宝の毘沙門天。いつかは見られる時が来るのであろうか……。

 そんなこんなで17時前に東寺を出る。門が閉められる。

 一日目、満足!

 バスで四条西洞院まで行き、夕食と朝食、あと頼まれ物のカールのチーズ味とポテチのだし醤油味をスーパーで買い込みホテルへ向かう。

 スーパーを出ると、雨が落ちてきた。ホテルはすぐそこ。降り方は結構強かったが傘を使わずに済んだ。ラッキー曇り女。

 ホテルは非常に静かで、隣の物音もほとんど聞こえない。

 前回会社が用意したホテルは新しいだけで最悪だった。隣の外国人、深夜3時までどっかんどっかん物音もうるさければ話し声もうるさくて一睡もできなかった。あの時の苦い思い出を懸命に引っ張り出し、間違ってもあのホテルを予約しないよう画像とにらめっこした甲斐があった。

 夜22時。

 新番組のドラマを観た。

 さて、明日も早い。明日は今日以上に体力勝負だ。

 さて寝るか。と電気を消すと、カーテンの隙間から稲光が差し込んできた。全然気付かなかったが雨は激しく、雷が鳴っていたようだ。だが音もそんなにしないので早々に寝る。

 前回と違って朝までぐっすり、ガーガー寝たようだ。

 そして朝の天気予報を見て驚愕する。京都、前日夕方からゲリラ豪雨に雷で大荒れ! Twitterには「寝れなかった」「雷うるさすぎ」の文字がこれでもかというくらいに並んでいた。

 次もこのホテルにしようと思った。イビススタイルズ、という名前は最近変わったものの、建物は昔からあるホテルであった。

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