京都奈良全力旅⑦長谷寺【フォトエッセイ・三度の飯より寺社仏閣】


 翌朝、ホテルで朝食を食べ、四条駅から地下鉄烏丸線に乗り、奈良県の長谷寺に行くことにした。

 長谷寺は初めて行くのだが、奈良市内から遠いので、今までどうしても二の足を踏んでいたのだが、紫陽花がきれいな季節であることと、もうひとつ、御本尊の観音様の御足に触れることのできる特別拝観が行われているというのだから行かないわけにはいかない!

 朝早くから張り切って出発!

 さっそく連れ、ホテルに忘れ物して戻る。改札通ってから気付くなよー。もー。

 気を取り直して四条駅から出発! 京都駅で近鉄特急に乗り換え、大和八木駅まで行き再び乗り換える。

 大和八木駅の乗り換えホームに着くと、何やら赤い特急が停まっていた。

 近鉄特急ひのとり。めちゃくちゃカッコいい! 戦隊ヒーローのレッドみたい! 名古屋から大阪まで行く特急なのですかね? 普段JRしか乗らないものだから新鮮。

 連れが忘れ物したおかげだな。

 大和八木から10分。長谷寺駅に到着。聞いてはいたけど、前も後ろも山。ここから徒歩20分。さて行くよ!

 駅前に1台タクシーが停まっていて、両手に荷物を持ったおばちゃんがひとり乗ろうと待機していたが、運転手さんはトイレ中なのか戻って来ず、諦めて歩き出すおばちゃんを追うようにして私たちも歩き出した。

 最初から階段を結構下る。ってことは帰りは上る。げはぁ……。ま、普段から職場の7Fまでは自力で上がってるから行ける……かな……。

 階段を下りると今度は坂道を信号まで下る。信号を渡ると平坦な参道へ入っていくのだが、意外と距離がある。歩くのは早い方だが帰りは25~30分は見ておかないとダメかもしれない。階段上るし。

 長谷寺の麓まで来ると商店街が軒を連ねていて、焼きたての草餅があちこちから私を呼んでいる。帰りに絶対買って食べる。

 ふと気付くと、駅でタクシーを待っていたおばちゃんも長谷寺へと入っていった。あ、観光客だったのか。確かにあの距離だとタクシー乗りたくなるかもなぁ。


 長谷寺は、長い回廊のような階段が有名なお寺で、階段にはぼんぼりのような照明が等間隔でぶら下がっている。


 その階段をゆっくりゆっくり上っては写真を撮り、横に逸れて宝物館を観る。宝物館は無料。長谷寺は拝観料だけで境内すべてを見て回れる。

 回廊の階段を上り切ると、左右に紫陽花の咲く階段が現れる。

 この時期さらに階段には紫陽花の鉢植えがびっしりと並べられ、人気のフォトスポットとなっていた。

撮影する人々で大行列ができていたので、急いでる方は回り道を。

 いくつか本堂への道があったので。

 紫陽花の階段を抜けて、ようやく本堂にたどり着く。

 こちらの本堂には京都の清水寺と同じように舞台が設置されており、そこから景色を一望できる。


 風が気持ちいいよー。

 振り返ると薄暗い本堂の中を見ることができるが、御本尊の観音様のお姿は舞台の先端からは見えないので改めて本堂の中へ。


 一般の参拝客でも観音様の前まで行けるのだが、前面の、胸から上しか見ることができないような構造で安置されているため、すべてのお姿を見ることは叶わない。それにしても大きい! お顔はとても穏やかだが、迫力が凄まじい。思わず「うわぁ……」と声に出してしまうほどだ。

 この時点ですでに思う。

 絶対にまた来たい場所だ、と。

 観音様の御足に触れられる特別拝観は本堂横の、別の場所に受付があるので早速向かう。

 が、そこに特別御朱印の受付もあったので、空いているうちにと先に御朱印をいただくことにした。すると御朱印と一緒に「行」と書かれた散華さんげもいただいた!

 散華も一緒にいただくのなんて初めて!

 知らなかったのだが、長谷寺は西国三十三ヶ所巡りのひとつなんだそう。そこでは期間限定なのかな、それぞれ御朱印とともに散華を配布していて、すべて集めると観音経が完成するんだとか!

 嬉しい! ラッキー!

 落とさないように、Suicaのパスケースに大事にしまった。いつでも見られるように……。

 御朱印をいただいた後、その横の内陣入口で特別拝観料を支払い受付を済ませると、中に入るにあたって注意事項の説明があった。順路や、拝観方法、撮影の禁止、など。

 そしてもうひとつ、一人ずつ五色の紐で編まれた腕輪を左手首に装着される。これは観音様との御縁を結ぶ腕輪なのだそうで、お土産として持ち帰ることができる。

 説明を一通り聞いて、順路通りに進むと、ちょうど前に入ったグループが観音様の御足から離れるところだった。

 一組ずつ丁寧に説明をするのは、一組ずつがゆっくりと観音様に触れられるようにするための配慮でもあるらしい。確かに後ろに行列ができてたら、よっぽどじゃない限りは慌てるもんね。

 観音様のお部屋に入って驚愕したのは、とにかく大きいことはもちろん、観音様を囲む四方の壁に四天王の絵図が色彩豊かに残っているところであった。金色に輝く穏やかなお顔の観音様、それを護るように描かれる四天王。

 ここだけ世界が違うかのようだった。

 あまりにもぼけーっとしていると次のグループを待たせてしまうので、念入りに手を合わせてから正座、そして一際ピカピカの御足に触れる。

 ありがたい。ほんとにその一心。年に何回かチャンスがあるようだが、この時に来られて感無量です。

 観音様の前を辞して、内陣をぐるっと一周すると、他にも仏像さまが置いてある。これらの仏像も特別拝観がないと観られないと思うとありがたやー。

 一通り見終わって外に出て、通常の御朱印をいただくことにした。前に並んでいたおじさんの御朱印帳がめちゃくちゃ分厚い……。八十八ヶ所巡り用とかなのだろうか。

 などと考えていたら、自分の番がきて御朱印帳を渡す時、手が滑って蛇腹じゃばら折りの御朱印帳を落としてしまった。

 校長先生のなっがい祝辞の書かれたアレをバラバラバラーっと落としてしまったような感じだ。

 意外と拾って整えるの大変。御朱印帳集めてる皆さまご注意を。私は係の人にも、後ろの人にも笑ってもらえたので良かったです……恥。雨じゃなくて良かった。

 さて気を取り直して、境内の中を下りながら観ていく。中腹辺りに赤い五重塔があったり、その近くでお土産を買ったり。

 入口の山門へはいくつかルートがあるようで、うまい具合にまた回廊の階段に出たので、そこから帰ることにした。

 このぼんぼりが灯ればまた、違った風情を感じられるのだろう。

 長谷寺を出て、草餅を並んで買う。おばちゃんが「熱いのと、それほど熱くないのどっちがいい?」と聞いてきたので熱いのを選んだが、めちゃくちゃ熱かった。ハフハフうまい!

 草餅食べたらお腹が空いた。電車の時間まで少し余裕があったため、この参道でお昼を食べることにする。

 一番最後のお店に入り、私はハンバーグ定食、連れはそうめんと俵おむすびの定食を頼んだ。

 ご主人が一人で作っているらしく、先客が何組か待っていたため少し時間がかかったが、ハンバーグめちゃくちゃ美味しかった! そして連れの俵おむすびもでっかい!

 電車の時間を逆算して店を出たが、お腹パンパンで上り坂&階段。観音様への道のりは険しいのだ。


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