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【残050話】断罪の日(4)
「ちょ……っと?」 今の今までの緊張感はどこへやら。 突然のロイズハルトの奇行にエルフェリスは成もなく、ただただひたすらに動揺した。 けれど当のロイズハルトはそんなエルフェリスの反応を楽しむように、何度も何度も首筋に指を這わせた。 そ... - † 残 †
【残049話】断罪の日(3)
「尋問て……何を……」「それは言えない。ヴァンプにはヴァンプのやり方がある。だが……レイの尋問は決して甘くはない。カルディナが簡単に口を割ったところを見ると……それなりの事はしたのだろう」 その言葉に、一気に背筋が寒くなった。思わず自分の体を掻... - † 残 †
【残048話】断罪の日(2)
「リーディアは? リーディアは無事なの?」 ただでさえ早い段階で背中に大きな一撃を受けていた上に、彼女もエルフェリスの傍で戦っていた。リーディアも同じように、さらなる傷を浴びせられてしまったのだろうかと、エルフェリスの瞳が不安に揺れる。... - † 残 †
【残047話】断罪の日(1)
「カルディナはドールとしての行動を見誤れようなどという過ぎた真似は有るまじき行為だったな。それがどういう事か、お前には分からないようだ」「……違います……違います! そんなつもりは……!」「問答無用だ。もはやお前に用は無い。連れて行け」「嫌……... - † 残 †
【残046話】狂愛の果て(4)
その瞬間。 「リーディ……ア様、いらっしゃる……、の?」 幾分大きくなったその声に、エルフェリスとリーディアは顔を見合わせると、すぐさまアルーンが縛り付けられている木の裏側に回り込んだ。 そしてそこにいた者の姿を認めて、リーディアがその名... - † 残 †
【残045話】狂愛の果て(3)
† † † † † 時が凍りついたように、エルフェリスもまた衝撃を受けて固まっていた。 「ロイズハルトが……禁術使い……?」 禁術はもはや伝説の中の伝説。知る人ぞ知る、忘れ去られた過去の遺物。 その術をヴァンパイアの中では唯一ロイズハルトのみが... - † 残 †
【残044話】狂愛の果て(2)
† † † † † 慌しく居城内を走り回る者たちの足音が、静まり返った回廊に響き渡る。 先ほどから自室のバルコニーに立ち、泉の方角をじっと見つめたまま動きもしなかったレイフィールは、その騒音がさも邪魔だと言わんばかりの表情で、それでも何かを... - † 残 †
【残043話】狂愛の果て(1)
苦しい……。 誰か助けテ……? 私はここにいるのに……。 あア……ロイズ様。 助けて下サ……イ……。 「ねえリーディア。こいつらいつの間に紛れ込んだのかなぁ? 初めにいたのは確かにハイブリッドだったわけでしょ?」 アンデッドの群れを振り払って再び... - † 残 †
【残042話】聖なる血の裁き(8)
ワンドの先から白い閃光を何度も何度も放つと、それは瞬く間に大きく炸裂した。神聖魔法の中でも一番威力の弱い魔法ではあったが、それでもただのハイブリッドが相手ならば十分すぎるほどの威力を発揮した。その証拠に、閃光の走った後には無数の灰の山... - † 残 †
【残041話】聖なる血の裁き(7)
辺りはいつの間にか大量の灰で溢れていた。わずかな風でもそれは砂塵を含んで醜く濁っていた。 先ほどから、身体が鉛のように重い。 時間を経るごとに荒く、早くなる呼吸。時おりぼやける視界が、限界の近さを知らせている。 それでも、まるで衰え... - † 残 †
【残040話】聖なる血の裁き(6)
しかしその間にも残った男たちは次から次へと襲い掛かってきた。 このままではリーディアの負担は増す一方だと悟ったエルフェリスはふらつく頭を何度も振って、それから肢体に力を込めてワンドを杖代わりに立ち上がる。一瞬目の前が真っ暗になり身体が... - † 残 †
【残039話】聖なる血の裁き(5)
「うぐっ?」 リーディアの行動が理解できないのか、男は初め訝めると、男の口から大量の血が溢れ出した。 エルフェリスから吸い取った赤い血が。 リーディアはその時を見計らってさっと身を交わし、地べたに座り込むエルフェリスを抱えると、素早く... - † 残 †
【残038話】聖なる血の裁き(4)
「しかし俺たちも見くびられたモンですよね、まさかドールなどから指図されることになろうとは」 この場の緊張感とは正反対の軽さを含んだその声に、リーダーらしきあの赤目の男は大きく欠伸をしながら面倒そうに同意した。その言葉に、エルフェリスとリ... - † 残 †
【残037話】聖なる血の裁き(3)
「二人とも殺して良いと言われているんでね」 男の中の一人がそう言って、白い牙を覗かせた。 「誰の差し金ですの……」 そんな中、ようやく息を整えたリーディアがゆらりと立ち上がり、エルフェリスを庇うように一歩前へ進み出た。 満身創痍の体でな... - † 残 †
【残036話】聖なる血の裁き(2)
「……な……ッ」 エルフェリスは驚愕のあまり絶句した。 初めて見る男だった。すらりとした長身に、長く伸びた髪の毛を風になびかせ、まるで先ほどからそこにいたかのようにごく自然に、笑みを浮かべて立っていた。 少しばかり骨ばった顔が印象的ではあ... - † 残 †
【残035話】聖なる血の裁き(1)
道なき道をリーディアに手を引かれながら、一歩一歩を確かめるようエルフェリスは進んだ。 月も姿を隠す今夜は異様なほどに静かで、そして何より闇深い。先ほどに比べればだいぶ目も慣れてきたが、それでもやはり不自由さは拭いきれず、時おり地面から... - † 残 †
【残034話】手がかりと甘い罠(7)
「あら、おかえりなさいませ。エルフェリス様」 二人と別れたエルフェリスが自室のドアをゆっくり開けると、窓辺に置かれたテーブルの縁に腰掛けてティーカップを傾けるリーディアに声を掛けられた。 「あれ? まだ寝てないの?」「お帰りをお待ちして... - † 残 †
【残033話】手がかりと甘い罠(6)
その後、デューンヴァイスの部屋を一足先に出たエルフェリスは一人、部屋が立ち並ぶ回廊に備え付けられた広いバルコニーの手すりに漠然と身を預けたまま、ゆっくりと昇りゆく太陽を見つめていた。 この城に来てからはヴァンパイアの生活に合わせていた...