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✝ 残 ✝ 010話 三人のシードヴァンパイア【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残010話 三人のシードヴァンパイア✚ 時が止まるようだ。 という表現を、今使わずしていつ使うのだろう。 エルフェリスは今、そんな心境にあった。 呼吸を忘れた身体。 苦しいはずなのに平気だ。 酸素を失っても、きっと気付かずに生き続けるの... -
✝ 残 ✝ 009話 三者会議の幕開け【恋愛ダークファンタジー小説】
〈第二夜 三つの思惑〉 ✚残009話 三者会議の幕開け✚ いつの頃からかそれは、“三者会議”と呼ばれるようになった。五~十年に一度、人間・シードヴァンパイア・ハイブリッドヴァンパイアの主導者が一同に会し、互いの共存の為に盟約を結ぶのだ。 人間... -
✝ 残 ✝ 008話 薔薇の居城【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残008話 薔薇の居城✚ 禍々とした空気が渦巻いていて窒息してしまいそうになる。 そんな空間を想像していた。 初めは。 けれどすぐにそのイメージは崩される。 良い意味で。 あれからわずかな休憩を何度か挟んだものの、文字通り夜通し馬車を走ら... -
✝ 残 ✝ 007話 麗しの案内人(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残007話 麗しの案内人(2)✚ 出立の時が来た。 エルフェリスとゲイル司祭は一度だけ顔を見合わせると、互いに大きく頷いて、一歩一歩を確かめるようにゆっくりと客車へ足を踏み入れた。 車内にはお互いの顔が分かる程度の蠟燭模様が白で描かれ、座席... -
✝ 残 ✝ 006話 麗しの案内人(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残006話 麗しの案内人(1)✚ 月明かりは時に、迷える者への道標となる。けれど新月である今夜は反対に、果てしない暗闇に吸い込まれてしまいそうな感覚に陥った。 手を伸ばしても、そこには柔らかな光で輝く月は存在しないのだから。 今日が約束の夜... -
✝ 残 ✝ 005話 ヴァンパイアからの招待状(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残005話 ヴァンパイアからの招待状(2)✚ やはりこの男もまだエリーゼを諦めてないのかと、相変わらずの執着の深さに、エルフェリスはそれまでの固い表情を崩して思わず苦笑してしまった。どうしたらそこまで誰かを一途に想い続けられるものなのだろうか... -
✝ 残 ✝ 004話 ヴァンパイアからの招待状(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残004話 ヴァンパイアからの招待状(1)✚ それはわずか二日前の事だった。 月明かりも姿を消した、漆黒の新月の晩。夜も深く更けた頃、人目を忍んでひっそりとこの教会を訪れる二つの影があった。 どちらも黒いマントに黒いフードを目深に被り、自ら... -
✝ 残 ✝ 003話 消えた姉(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残003話 消えた姉(2)✚ 「いつからそこにいたの? デストロイ」 だからあえてわざわざ視線を動かすこともないだろうと、前を見据えたままでそう言ってみせた。すると短く笑う声と共に気配が近づいてきた。 「やっぱお前ただ者じゃねぇな、エル」 不... -
✝ 残 ✝ 002話 消えた姉(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
〈第一夜 招待状〉 ✚残002話 消えた姉(1)✚ いつも思い出すのだ。 この灰色に淀んだ空を見ると。けたたましいくらいの雨音を聴くと。 「エルフェリス。私、シードヴァンパイアに逢ったの」 限りなく美しくて、限りなく誇り高いシードに……。 そ... -
✝ 残 ✝ 001話 聖職者とヴァンパイア【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残001話 聖職者とヴァンパイア✚ 闇が、すぐそこまで迫っていた。 音は無い。 エルフェリスは今、逃げていた。全力で。 エルフェリスが走り抜けた庭園の薔薇たちが、笑うようにその身を揺らす。 確実に追い詰められていた。 逃げても逃げても... -
✝ 残 ✝ 000話 はじまりの雨【恋愛ダークファンタジー小説】
✙残000話 はじまりの雨✚ 侵食。 侵食。 音も無く滑り込み、跡形も無く砕け散る。 この身は果てても奥底に渦巻くは黒い血の契約。 過去は全てモノクロームの世界に消え果てて。 未来は全て暗闇に覆い尽くされる。 いつの日か、あの月のように再... -
✝ 残 ✝ 【恋愛ダークファンタジー小説】
―幾多の苦難を乗り越えて、ヴァンパイアの首領の元に人間の聖女が嫁ぐ日が来る― 恋愛ダークファンタジー 地の文多め・鬱展開・残酷表現あり 序章 はじまりの雨 第一夜 招待状 聖職者とヴァンパイア 消えた姉(1) 消えた姉(2) ヴァンパイアからの招待状(1) ...