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短剣と夜想曲22話 拒む愛妻2【異世界転移ファンタジー小説】
Dream22.拒む愛妻2 きれいな放物線を描いて茂みに落下する物体。「っ?」 物体を確認するために恐る恐る茂みをかき分けると、そこには見慣れたあの顔が恨めしそうにこちらを睨み付けていた。 ……。 …………。「……妖怪?」「誰が妖怪だボケ」「アンタ何やってんの... -
✝ 残 ✝ 055話 ルイの帰還(3)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残055話 ルイの帰還(3)✚ † † † † † そしてそれからまた数日後、ついに城内が尋常でないほどにざわめき立つ瞬間を迎えた。 城に住まうありとあらゆる者が出迎える中を、帰って来たのだ。あの男が。 けれどエルフェリスはちょうどその時、めっ... -
短剣と夜想曲21話 拒む愛妻【異世界転移ファンタジー小説】
Dream21.拒む愛妻 さてさてこれは一体どうしたことか。 あたし、ちょっと邪魔者みたい? ――そんな状況。「帰りましょう? ミル」「……嫌です。ここにいます」「なぜ? ここは夢魔が作り出した偽んで力任せに手前に持ってくると、何やら謎の物体が前方に放... -
✝ 残 ✝ 054話 ルイの帰還(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残054話 ルイの帰還(2)✚ 以前ちらりとレイフィールのドールにそのような話を聞いたことがあったが、それよりもなお計り知れないようなことが、日常的に繰り返されていたとかいなかったとか。 だからあのような結末を迎えたにもかかわらず、ドールか... -
短剣と夜想曲20話 勇気の食卓【異世界転移ファンタジー小説】
Dream20.勇気の食卓 温かいスープが身体中にゆっくり染み渡っていった。 リュイ特製の優しくて美味しいスープ。 私とセシルドがお腹を空かせて帰って来てもいいようにと、あの後すぐにリュイとクライスで作り始めたのだそうだ。 だが……。「クライス様... -
✝ 残 ✝ 53話 ルイの帰還(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
〈第四夜 灰色の風〉 ✚残053話 ルイの帰還(1)✚ 人は未来を知ることができない。 そんな便利な能力が備わっていれば、こんなにも荒くれた世の中にはなりはしなかっただろう。 けれどまた、人間とヴァンパイアが共存をしようなどという方向にも向か... -
短剣と夜想曲19話 動き出す黒の月【異世界転移ファンタジー小説】
Dream19.動き出す黒の月 「消えろ、そして出よ。我の声に従え。黒の光よ」 夜空に手が伸ばされる。 「やめろ……やめろやめろやめろッ!」 冷え切った鉄格子を揺さぶる音が耳に痛いほど響き渡る。 「全てお前のお陰だぞ? もう手遅れだ。……ヒヒ……ヒヒヒヒ」 「... -
✝ 残 ✝ 052話 断罪の日(6)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残052話 断罪の日(6)✚ エルフェリスはそれを慎重に聞き取っていく。 「あの男とは……庭園茶会の日に城の外で出会ったの。黒いマントで身を包んだ、恐ろしいくらいに美しい男……。その後はまるで魔法に掛けられたようにロイズ様の名で手紙を書き、それを... -
短剣と夜想曲18話 眠れるリュイの妻2【異世界転移ファンタジー小説】
Dream18.眠れるリュイの妻2 「みんな……心配してるのかな」 涙が止まった代わりに、そんな言葉が無意識に口を衝く。 「してんじゃねぇの?」 誰もいないと思っていた背後から声を掛けられて、驚いた私は振り返ると同時に身構えた。 が、そこにいたのは。 ... -
✝ 残 ✝ 051話 断罪の日(5)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残051話 断罪の日(5)✚ 「……カルディナ……?」 そしてそっとその名を呼ぶ。 返事は無かった。 てっきり自分の姿を見て掴を手にとってさらに奥を覗いた。 揺らめく炎に照らされて、隅の方で小さくうずくまる人の影が目に入る。エルフェリスや灯りに... -
短剣と夜想曲17話 眠れるリュイの妻【異世界転移ファンタジー小説】
Dream17.眠れるリュイの妻 南の国は他の国よりも陽気で、ほんのり太陽の香りがする美しい国だとリュイが言っていた。 自分の故郷だからそう思うのかな、と。 いいや、彼の言葉に偽りは無いと思う。 人も気候も暖かいし、私の世界とはまるで違うの... -
✝ 残 ✝ 050話 断罪の日(4)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残050話 断罪の日(4)✚ 「ちょ……っと?」 今の今までの緊張感はどこへやら。 突然のロイズハルトの奇行にエルフェリスは成もなく、ただただひたすらに動揺した。 けれど当のロイズハルトはそんなエルフェリスの反応を楽しむように、何度も何度も首... -
短剣と夜想曲16話 悪夢の暴走2【異世界転移ファンタジー小説】
Dream16.悪夢の暴走2 「とにかく順番に話しなさい。左から発言を許す!」 呆れ顔のレアはこめかみに手を当てて二、三度首を横に振ると、まずはクライスを指名した。 すると彼はニヤリと笑い、なぜか悔しがるセシルドとリュイに対してガッツポーズを決... -
✝ 残 ✝ 049話 断罪の日(3)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残049話 断罪の日(3)✚ 「尋問て……何を……」「それは言えない。ヴァンプにはヴァンプのやり方がある。だが……レイの尋問は決して甘くはない。カルディナが簡単に口を割ったところを見ると……それなりの事はしたのだろう」 その言葉に、一気に背筋が寒くな... -
短剣と夜想曲15話 悪夢の暴走【異世界転移ファンタジー小説】
Dream15.悪夢の暴走 「おい! お前! さっさとオイラをココから出せ!」 硬い鉄格子の隙間から顔を覗かせてその少年は叫ぶと、両手で掴を力一杯揺さぶった。 暗く冷え切った石の壁にガチャガチャと無機質な音が鋭く響き渡る。 「出せって言ってんだ... -
✝ 残 ✝ 048話 断罪の日(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残048話 断罪の日(2)✚ 「リーディアは? リーディアは無事なの?」 ただでさえ早い段階で背中に大きな一撃を受けていた上に、彼女もエルフェリスの傍で戦っていた。リーディアも同じように、さらなる傷を浴びせられてしまったのだろうかと、エルフェ... -
短剣と夜想曲14話 東の魔術師【異世界転移ファンタジー小説】
Dream14.東の魔術師 夜が明けてすぐ私達は広場を後にし、再び街道を東の魔術師の元に向けて進んだ。 今日はうっすら雲が広がって、あまりすっきりとは言えない空模様。 私の瞼もあまりすっきりしない。 馬上ではクライスに支えられているのをいい... -
✝ 残 ✝ 047話 断罪の日(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残047話 断罪の日(1)✚ 「カルディナはドールとしての行動を見誤れようなどという過ぎた真似は有るまじき行為だったな。それがどういう事か、お前には分からないようだ」「……違います……違います! そんなつもりは……!」「問答無用だ。もはやお前に用は無...