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【残032話】手がかりと甘い罠(5)
「今……何て言った?」「え? 十字架のネックレスだよ。クリスタル製かなぁ……ドールが十字架身に着けてるのなんて初めて見たからさぁ、不思議で、ねぇ?」 それがどうしたの、とレイフィールは屈託の無い笑顔を見せたが、エルフェリスは逆に、身体全体か... - † 残 †
【残031話】手がかりと甘い罠(4)
「誰だ? エリーゼって」 すると、話の成り行きが分からないロイズハルトがすかさずそう呟く。それに対してエルフェリスは手短に内容を説明してみせた。合わせてレイフィールにも解りやすいように、簡潔に、けれども丁寧に。 が、やはりここでも彼女... - † 残 †
【残030話】手がかりと甘い罠(3)
エルフェリスたちの視線が一斉に部屋の入り口へと向けられる。入ってきた男はいきなり注目を浴びたことに対して少々驚いたようだったが、何かを悟ったのかすぐに口元を緩めた。 「なんだ? 揃いに揃って……。俺も混ぜろ」 そう言ってにやりと笑った男... - † 残 †
【残029話】手がかりと甘い罠(2)
「やれやれ、レイのせいで進む話も全然進みやしない」 エルフェリスとレイフィールの手が離れたのを見届けると、デューンヴァイスは心底疲れたように床の上で大きく胡坐をかいてそう言った。その言葉に、エルフェリスも一連のやり取りの中ですっかり忘れ... - † 残 †
【残028話】手がかりと甘い罠(1)
「……いったぁ! まだ痛いよッ! デューンのせいだからね!」 氷のうを頭に載せたまま、レイフィールは向かいのソファに腰掛けるデューンヴァイスに非難の眼差しを向けた。 けれど対するデューンヴァイスはどこ吹く風。まるで気にした様子もなく、し... - † 残 †
【残027話】ルイという男(3)
「どうしたの?」 慌てて顔を覗き込むと、熱っぽい眼差しでエルフェリスを見上げるレイフィールと目が合った。 アイスブルーの瞳が、すぐそばで揺らめいている。その呼吸はわずかに乱れていた。 「レイ……?」 もう一度名を呼ぼうとするよりも前に、... - † 残 †
【残026話】ルイという男(2)
その一方で、一人眉をひそめるエルフェリス。 「ん? ……ルイって誰?」 突然出てきた聞き慣れない名前に首を傾げると、談笑を続けるレイフィールの代わりに、彼のドールの一人がすっと口を開いた。 「ルイ様はシードのお一人ですわ。エルフェリス様は... - † 残 †
【残025話】ルイという男(1)
結局エルフェリスとリーディアは茶会のほとんどを茂みの中で過ごした。別に親しい誰かがいるわけでもないし、エリーゼの行方を捜すのもまた次の機会にすればよいと思って、エルフェリスは新たな友人となれるであろうリーディアの言葉に終始耳を傾けた。 ... - † 残 †
【残024話】リーディアの過去(4)
エルフェリスはこっそりと横目だけでリーディアの様子を窺だけでエルフェリスはそうではない、彼女は決して悔やんではいないと確信した。 だってリーディアはいつだって眩しいほどに輝いているから。エルフェリスにはそう見えたから。 「初めてロイズ... - † 残 †
【残023話】リーディアの過去(3)
「見てはいけない夢を見ているのですわ。カルディナも……他のドールたちも……」 何かを想い出すように呟いたリーディアの瞳から、色が失われていくような錯覚を覚えた。彼女の目に映る景色も、あるいはどこか別の場所を映しているのではないか。そんな印象... - † 残 †
【残022話】リーディアの過去(2)
やがて茶会の開始を知らせるベルが鳴り響き、続々とヴァンパイアやドールが集まる中を、エルフェリスもリーディアを伴って庭園へと赴くことにした。 二人が下りる頃にはもう、広大な広さを誇る庭園もすでに数多くの群衆で賑わいを見せていた。 シー... - † 残 †
【残021話】リーディアの過去(1)
女の噂と結束力は、どうしてあんなに強大なのだろうといつも思っていた。昨日の敵は今日の仲間、今日の仲間は明日の敵、といわんばかりに刻一刻とメンバーを入れ替えながら、いつか飽きるまで続いていくのだ。 やられる側としては針のむしろ。 じわ... - † 残 †
【残020話】吸血人形ドール(4)
「あの……エルフェリス? そろそろ放してくださらない?」「あ、ごめんなさい!」 彼女の手をずっと握り締めたままだったことをすっかり忘れていたせいで、さらにカルディナの気を悪くしてしまったようだった。指摘を受けて慌ててその手を放したが、彼女... - 小説の書き方
小説書くなら知っておきたい文章のルール【作文・小論文にも使える基本の書き方】
小説書くのって楽しいですよね! 投稿サイトには大量の作品が日々投稿されてます。 誰でも小説を書いて発表できるようになりました。 でも。 その文章、基本を守ればもうちょっと良くなるんじゃない? と思うことも多々あるし、何なら「基本がなってない... - † 残 †
【残019話】吸血人形ドール(3)
「よし、好きなの選べ。てか好きなだけ選べ。どうせ服もあんまり持って来てないんだろ?」 本当に衣装だけの部屋なのかと思うほど広いクローゼットのど真ん中でようやく下ろされたエルフェリスに、デューンヴァイスは至極楽しそうにそう言うと、自らはそ... - † 残 †
【残018話】吸血人形ドール(2)
「よっ!」「なんだ……、デューンか」 長身の背を少し丸めて気さくに片手を上げる男の姿を認めると、エルフェリスは人知れずほっと胸を撫で下ろした。そこにいたのは誰でもない、エルフェリスがこの城に残るために一緒に奔走してくれたシードヴァンパイア... - † 残 †
【残017話】吸血人形ドール(1)
幼い頃、大好きだった人形があった。何度目かの誕生日のお祝いに、司祭が買ってくれた女の子の人形。目は大きくて、髪は金色の巻き髪。キラキラ輝くドレスがお気に入りで、眠る時まで一緒だった。 女の子だったら、誰もが一度はそんな人形を持ったこと... - † 残 †
【残016話】光と闇の接点(2)
ここまで重大な秘密を共有する自分にも話せないようなことが、彼らの暮らすあの小さな村の中にあるのだろうかとロイズハルトは疑念の目を向ける。 だが何かを疑ったところで、エルフェリスに襲い掛かる脅威を振り払えるわけではないのだ。殺されるだけ...