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短剣と夜想曲06話 魔具使い【異世界転移ファンタジー小説】
Dream6.魔具使い 村人たちの会合をある程度見届けた後、私たちは急いでセシルドが待つ宿屋へと戻った。 ものすごい剣幕で部屋に飛び込んだ私たちとは対照的に、セシルドはリュイの伴奏に合わせて下手くそな歌なんか歌っちゃってた。 事情を知らない... -
✝ 残 ✝ 039話 聖なる血の裁き(5)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残039話 聖なる血の裁き(5)✚ 「うぐっ?」 リーディアの行動が理解できないのか、男は初め訝めると、男の口から大量の血が溢れ出した。 エルフェリスから吸い取った赤い血が。 リーディアはその時を見計らってさっと身を交わし、地べたに座り込む... -
短剣と夜想曲05話 黒の胎動【異世界転移ファンタジー小説】
Dream5.黒の胎動 赤き月よ、出でよ。 そしてこの大地を染めてしまえ。 白き月などもはや不要。 我れが望むは黒の月なり――。 どこかで何かが妖しく蠢いていた。 地底なのか、はたまた地上なのか、それすらも分からないい暗い空間に、何とも不快... -
✝ 残 ✝ 038話 聖なる血の裁き(4)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残038話 聖なる血の裁き(4)✚ 「しかし俺たちも見くびられたモンですよね、まさかドールなどから指図されることになろうとは」 この場の緊張感とは正反対の軽さを含んだその声に、リーダーらしきあの赤目の男は大きく欠伸をしながら面倒そうに同意した... -
短剣と夜想曲04話 その名で呼んだらブッ飛ばす【異世界転移ファンタジー小説】
Dream4.その名で呼んだらブッ飛ばす かくして最初の目的地は決まったワケだが、同時に私はぐうぐうといびきをかいていた。 しかも夢の世界にいるというのに、ご丁寧にもまた夢を見ていた。 そして朝。 いつもの如くでなかなか起きない私は、セシル... -
✝ 残 ✝ 037話 聖なる血の裁き(3)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残037話 聖なる血の裁き(3)✚ 「二人とも殺して良いと言われているんでね」 男の中の一人がそう言って、白い牙を覗かせた。 「誰の差し金ですの……」 そんな中、ようやく息を整えたリーディアがゆらりと立ち上がり、エルフェリスを庇うように一歩前へ... -
短剣と夜想曲03話 夢の世界ラルファール【異世界転移ファンタジー小説】
Dream3.ラルファール 兎にも、行動を起こすにはこの世界に対するある程度の知識が必要だろうということで、どっぷり日が暮れるまでクライス先生による歴史と社会の講義を受けた。 背後にはセシルド。 欠伸ひとつしようものなら容赦無い毒舌が浴びせ... -
✝ 残 ✝ 036話 聖なる血の裁き(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残036話 聖なる血の裁き(2)✚ 「……な……ッ」 エルフェリスは驚愕のあまり絶句した。 初めて見る男だった。すらりとした長身に、長く伸びた髪の毛を風になびかせ、まるで先ほどからそこにいたかのようにごく自然に、笑みを浮かべて立っていた。 少し... -
短剣と夜想曲02話 奔放王子と生意気従者【異世界転移ファンタジー小説】
Dream2.奔放王子と生意気従者 確かに私は夢見が良かった。 内容を覚えているいないはともかく、毎晩何かしら夢を見ていた気がする。 夢は深層心理の現れだとか、眠りの浅い証拠だとか言われるけれど、それでも何も見ないと言うのはつまらない。 周... -
短剣と夜想曲01話 いじける神様【異世界転移ファンタジー小説】
足元に二人の男が転がった。 少し遅れて、金属の乾いた音が虚しく響く。 「まったくもう……お陰で遅刻じゃないの!」 恐らくは聞こえてないだろうけど、間抜けな顔で白眼を剥を付くのを忘れない。 だって分かるでしょ? 毎朝夢見が良すぎて寝坊... -
【異世界転移ゆる系ファンタジー小説】短剣と夜想曲
大人も子供も武装する現実世界から、夢の世界へと召喚された女子高生キラ。 神を名乗るおじいちゃんに助けを求められ、旅の仲間となる二人連れの元へと吹っ飛ばされる。 そこは、人々に悪夢を見せるという夢魔の蔓延る世界。この世界を救わないと、元いた... -
✝ 残 ✝ 034話 手がかりと甘い罠(7)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残034話 手がかりと甘い罠(7)✚ 「あら、おかえりなさいませ。エルフェリス様」 二人と別れたエルフェリスが自室のドアをゆっくり開けると、窓辺に置かれたテーブルの縁に腰掛けてティーカップを傾けるリーディアに声を掛けられた。 「あれ? まだ寝て... -
✝ 残 ✝ 033話 手がかりと甘い罠(6)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残033話 手がかりと甘い罠(6)✚ その後、デューンヴァイスの部屋を一足先に出たエルフェリスは一人、部屋が立ち並ぶ回廊に備え付けられた広いバルコニーの手すりに漠然と身を預けたまま、ゆっくりと昇りゆく太陽を見つめていた。 この城に来てからは... -
✝ 残 ✝ 032話 手がかりと甘い罠(5)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残032話 手がかりと甘い罠(5)✚ 「今……何て言った?」「え? 十字架のネックレスだよ。クリスタル製かなぁ……ドールが十字架身に着けてるのなんて初めて見たからさぁ、不思議で、ねぇ?」 それがどうしたの、とレイフィールは屈託の無い笑顔を見せたが... -
✝ 残 ✝ 031話 手がかりと甘い罠(4)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残031話 手がかりと甘い罠(4)✚ 「誰だ? エリーゼって」 すると、話の成り行きが分からないロイズハルトがすかさずそう呟く。それに対してエルフェリスは手短に内容を説明してみせた。合わせてレイフィールにも解りやすいように、簡潔に、けれども丁... -
✝ 残 ✝ 030話 手がかりと甘い罠(3)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残030話 手がかりと甘い罠(3)✚ エルフェリスたちの視線が一斉に部屋の入り口へと向けられる。入ってきた男はいきなり注目を浴びたことに対して少々驚いたようだったが、何かを悟ったのかすぐに口元を緩めた。 「なんだ? 揃いに揃って……。俺も混ぜろ... -
✝ 残 ✝ 029話 手がかりと甘い罠(2)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残029話 手がかりと甘い罠(2)✚ 「やれやれ、レイのせいで進む話も全然進みやしない」 エルフェリスとレイフィールの手が離れたのを見届けると、デューンヴァイスは心底疲れたように床の上で大きく胡坐をかいてそう言った。その言葉に、エルフェリスも... -
✝ 残 ✝ 028話 手がかりと甘い罠(1)【恋愛ダークファンタジー小説】
✚残028話 手がかりと甘い罠(1)✚ 「……いったぁ! まだ痛いよッ! デューンのせいだからね!」 氷のうを頭に載せたまま、レイフィールは向かいのソファに腰掛けるデューンヴァイスに非難の眼差しを向けた。 けれど対するデューンヴァイスはどこ吹く風...